日商簿記1級

【図解】経済的残存使用期間が20年超える場合|減損の認識

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今回は減損会計の【減損の認識/経済的残存使用期間が20年超える場合】について解説します。

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減損会計とは?

減損とは資産の価値を減少させ、損失を計上することをいいます。

減損損失はP/L科目の「特別損失」になります。

【減損会計の考え方】

  • 資産の価値(帳簿価額)を減少させる
    (資産の減少)
  • 損失を計上する
    (費用の増加)

どういう時に減損を行うのか?

固定資産は減価償却により、毎年費用計上すると供に

[固定資産の帳簿価額]を減少させていきます。

しかし、その固定資産の収益性が低下し、

[固定資産の帳簿価額]の回収が見込めなくなった場合

この資産は帳簿価額としての価値がないと判断されます。

その場合、この帳簿価額を減額する必要があります。

これが「減損」になります。

【帳簿価額とは?】

帳簿価額とは、取得原価から減価償却累計額を差し引いた金額です。

例えば取得原価が100万で、減価償却累計額が20万であれば

帳簿価額は80万となります。

◆帳簿価額 = 取得原価 − 減価償却累計額

減損会計の流れ

減損会計は下記のような手順で行います。

今回は減損の認識について解説します。

減損の認識とは?

減損の認識は、減損損失を実施するか否かを検討することです。

この判定は資産または資産グループから得られる

[割引将来キャッシュフローの総額]が[帳簿価額]を下回る場合は

減損を「認識する」と判定します。

【減損の認識】

[帳簿価額]>[割引将来キャッシュフローの総額]

→減損を認識する。

割引前将来キャッシュ・フローの総額とは?

割引前将来キャッシュ・フローの総額」と聞くとイメージつきにくいかもしれません。

割引前将来キャッシュ・フローの総額」は、

経済的残存使用期間にわたって得られる将来キャッシュ・フローをいいます。

要するに「資産を使用することにより得られるリターンの総額」です。

下記の合計を「割引前将来キャッシュ・フローの総額」とします。

割引前将来キャッシュ・フローの総額

  • 資産の使用により得られるキャッシュ・フローの総額
  • 売却によるキャッシュ・フロー

資産の使用により得られるキャッシュ・フローの総額

資産を稼働させることによって、毎年得られるキャッシュ・フローのことです。

詳しく解説

例えば工場(建物)やその機械を稼働させることで

製品を製造することができ、それを販売することで得られるキャッシュフローのことを指します。

売却によるキャッシュ・フロー

使用期間経過後はその資産を売却すると考えます。

そのため、売却によって得られる[正味売却価額]を将来CFとして加算させます。

【正味売却価額とは?】

資産(または資産グループ)の時価から処分費用見込額を控除した金額になります。

◆正味売却価額=資産の時価ー処分費用見込額

割引前とは?

割引前将来キャッシュ・フローの総額」の「割引前」とは

割引計算する前の金額を指します。

詳しく解説

例えば3年後に100万が受け取ることができるとします。

しかし[3年後の100万][現在の100万]は同じ価値ではありません。

仮に割引率が2%とした場合

[3年後の100万]の現在の価値(割引現在価値)は下記のように計算されます。

100万÷1.02³=94.232..万

割引」とは、この割引を行う前の100万であり

割引」とは、この割引を行う後の94.232..万となります。

割引現在価値

↓[割引現在価値]については下記で詳しく解説していきます。

なぜ「割引前」なのか?

減損の認識では、将来キャッシュフローは「割引」を用います。

なぜ割引後ではなく、割引前なのか?

それは、減損の認識は慎重に行う必要があるためです。

慎重に行う必要があるため、金額の大きい「割引」の金額を帳簿価額と比較します。

減損の認識の次のステップの「減損の測定」では「割引」を用います。

経済的残存使用期間が20年超える場合

経済的残存使用期間が20年超える場合は少し処理方法が異なります。

具体的には下記のように計算し、帳簿価額と比較します。

(経済的残存使用期間が20年超える場合)

割引前将来CF=20年間の割引前将来CFの総額+20年経過時点における回収可能価額

20年間までは通常通り[割引前将来CFの総額]で計算し

21年目以降はその時点の[回収可能性価額]で計算します。

つまり21年目以降のみ処理方法が異なるということです。

資産又は資産グループ中の主要な資産の経済的残存使用年数が20年を超える場合には、21年目以降に見込まれる将来キャッシュ・フローに基づいて算定された20年経過時点における回収可能価額を、20 年目までの割引前将来キャッシュ・フローに加算する

固定資産の減損に係る会計基準の適用指針第18項

下記2ついずれかの金額が高い方を回収可能性価額としています。

【回収可能性価額】

  1. 20年経過時点の[正味売却価額]
  2. 20年経過時点の[使用価値]

※いずれかの金額が高い方

【回収可能性価額とは?】

回収可能性価額とは、その資産を将来利用することで回収が見込まれる金額のことをいいます。

この[回収可能性価額]というのは【ステップ③減損の測定】で学習する内容になります。

20年経過時点の[正味売却価額]

正味売却価額とは

資産(または資産グループ)の時価から処分費用見込額を控除した金額になります。

◆正味売却価額=資産の時価ー処分費用見込額

20年経過時点の[使用価値]

資産または資産グループの[継続使用]と[その後の処分による正味売却価額]によって得られる将来CFの現在価値のことをいいます。

つまり使用価値とは、「割引将来キャッシュ・フロー」です。

使用価値

割引将来キャッシュ・フロー

つまり21年目以降は割引計算が必要となります。

↓[割引計算]の解説は下記をご参照ください。

例題

例題

下記の資料にもとづき機械Aの次の問いについて答えなさい

  • ①帳簿価額
  • ②割引前将来キャッシュ・フローの総額
  • ③減損損失の認識

[資料Ⅰ]

機械A
取得原価5,000円
減価償却累計額1,000円
残存使用期間25年
毎年の割引前将来CF100円
20年経過時点の正味売却価額1,200円
25年経過時点の正味売却価額1,000円

※上記は資産はどちらも減損の兆候がある。

割引率は3%である。少数以下は四捨五入する。

(解答)

  • ①帳簿価額
    4,000円
  • ②割引前将来キャッシュ・フローの総額
    3,321
  • ③減損損失の認識
    減損損失を認識する

(解説)

残存使用期間残存使用期間が20年を超えるため下記のように計算します。

【減損の認識】

[帳簿価額]>[割引将来キャッシュ・フローの総額]

減損を認識する。

(経済的残存使用期間が20年超える場合)

割引前将来CF=20年間の割引前将来CFの総額+20年経過時点における回収可能価額

①帳簿価額

取得価額5,000円-減価償却累計額1,000円=4,000円

②割引前将来キャッシュ・フローの総額

[1-20年目]と[21年目以降の回収可能性価額]で分けて計算します。

[1-20年目]

毎年の割引前将来CF100円×残存使用期間20年=2,000円

[21年目以降の回収可能性価額]

回収可能性価額は下記のいずれか高い方になります。

【回収可能性価額】

  1. 20年経過時点の[正味売却価額]
  2. 20年経過時点の[使用価値]

※いずれかの金額が高い方

20年経過時点の[正味売却価額]

1,200円(問題文より)

20年経過時点の[使用価値]

21年目以降の将来CFを[割引後将来キャッシュフロー]で計算します。

また割引時は当期末ではなく、20年経過時点で割り引きます。

例えば

割引率3%の場合

  • 21年であれば21-20=1年
    ÷1,03¹
  • 22年であれば22-20=2年
    ÷1,03²

割引率は3%のため下記のように計算します。

(100円÷1.03¹)+(100÷1.03²)+(100÷1.03³)+(100÷1.03⁴)+((100+1,000)÷1.03⁵)≒1,321円

最後の25年目に正味売却価額1,000円を加算するのを忘れないようにしましょう。

25年目は[将来CF]に[正味売却価額]を加算させた状態で割引計算します。

※クリックすると画像が表示されます。
回収可能性価額
  • 20年経過時点の[正味売却価額]
    →1,200円
  • 20年経過時点の[使用価値]
    →1,321円

上記より20年経過時点の[使用価値]の方が高いため

回収可能性価額は1,321円を用います。

割引前将来キャッシュ・フローの総額

つまり[割引前将来CFの総額]は下記になります。

[1-20年目]2,000円+[21年目以降の回収可能性価額]1,321円=3,321円

③減損損失の認識

[帳簿価額]4,000円[割引前将来キャッシュ・フローの総額]3,321円のため

減損損失を認識する

減損の認識 20年超える場合

なぜ20年超えた部分は回収可能性価額になるのか?

なぜ経済的残存使用期間が20年超える場合は

[20年経過時点の回収可能性価額]で計算するのでしょうか?

→それは20年を超えた部分はあまりに先の話で、その部分を見積もるのは困難だからです。

20年超える部分を[割引前将来CF]で用いるのは適切でないと考えれます。

そのため、20年超えた部部分は[20年経過時点の回収可能性価額]で判定します。

20年後は市場環境も現在と比べ変化している可能性があるため、それを超える部分は[回収可能性価額]で計算します。

まとめ

今回は減損会計の【減損の認識/経済的残存使用期間が20年超える場合】について解説しました。

要点をまとめると下記になります。

  • 減損の認識は、減損損失を実施するか否かを検討することである。
  • この判定は資産または資産グループから得られる[割引前将来キャッシュフローの総額]が[帳簿価額]を下回る場合は減損の「認識する」と判定する。

【減損の認識】

[帳簿価額]>[割引前将来キャッシュフローの総額]

→減損を認識する。

【経済的残存使用期間が20年超える場合】

経済的残存使用期間が20年超える場合、[割引前将来CF]は下記のように計算する

割引前将来CF=20年間の割引前将来CFの総額+20年経過時点における回収可能価額

減損の認識 20年超える場合
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