今回は本支店会計の「本支店合併財務諸表」について解説します。
※本記事は日商簿記2級向けの内容になります。
本支店合併財務諸表とは?
「本支店合併財務諸表」は
本店と支店の帳簿を合算した財務諸表のことです。
本店と支店が別々に帳簿をつけていたとしても
実際は1つの会社のため、合算させる必要があります。
作成の手順
本支店合併財務諸表の作成の手順は下記のように行います。
- 決算整理
- 財務諸表の合算
- 内部取引の相殺
決算整理
決算において、[本店]と[支店]で、それぞれ決算整理を行います。
※決算整理については、通常の決算整理仕訳と同じになります。
財務諸表の合算
決算整理後は、[本店]と[支店]の財務諸表を合算させます。
内部取引の相殺
「支店」勘定と「本店」勘定は
内部取引のため相殺消去します
※日商簿記1級では上記以外にも「内部利益の控除」がありますが
本記事ではこの解説は省略します。
決算整理の仕訳
本店 | 減価償却費 | 1,600 | / | 備品減価償却累計額 | 1,600 |
支店 | 減価償却費 | 960 | / | 備品減価償却累計額 | 960 |
〇[本店]の減価償却費
(取得原価10,000-累計額2,000)×20%=1,600
〇[支店]の減価償却費
(取得原価6,000-累計額1,200)×20%=960
通常の減価償却費の計算と同じになります。
その他の決算整理仕訳
決算整理は上記含めて下記のようなものがあります。
本支店合併財務諸表の作成
決算整理仕訳
(1) | 本店 | 仕入 | 1,000 | / | 繰越商品 | 1,000 |
繰越商品 | 1,400 | / | 仕入 | 1,400 | ||
支店 | 仕入 | 800 | / | 繰越商品 | 800 | |
繰越商品 | 900 | / | 仕入 | 900 | ||
(2) | 本店 | 貸倒引当金繰入 | 10 | / | 貸倒引当金 | 10 |
支店 | 貸倒引当金繰入 | 10 | / | 貸倒引当金 | 10 | |
(3) | 本店 | 減価償却費 | 800 | / | 備品減価償却累計額 | 800 |
支店 | 減価償却費 | 320 | / | 備品減価償却累計額 | 320 | |
(4) | 本店 | 営業費 | 300 | / | 未払費用 | 300 |
支店 | 営業費 | 100 | / | 未払費用 | 100 |
(1)売上原価の算定
期首棚卸商品(決算整理前の繰越商品)を逆仕訳をし
期末棚卸商品を計上します。
※期首は[資料Ⅰ]の繰越商品、期末は[資料Ⅱ](1)の金額になります。
(2)貸倒引当金の設定
差額補充法により計上します。
- 本店;6,000×1%-50=10
- 支店:4,000×1%-30=10
※50円と30円は[資料Ⅰ]の貸倒引当金の金額です。
決算整理前に貸倒引当金の残高があるため、差額補充法により計上します。
(3)減価償却費
本店:(取得原価5,000-累計額1,000)×20%=800
支店:(取得原価2,000-累計額400)×20%=320
(4)経過勘定(未払費用)の計上
経過勘定により、未払費用を計上する。
本支店合併損益計算書(P/L)
- 売上高:9,000+4,370=13,370円
- 期首棚卸商品:1,000+800=1,800
- ※[資料Ⅰ]の決算整理前の繰越商品の金額
- 当期仕入:5,800+3,000=8,800
- 期末棚卸商品:1,400+900=2,300
- ※[資料Ⅱ]の(1)の繰越商品の金額
- 売上原価:期首1,800+当期仕入8,800-期末2,300=8,300
- 売上総利益:売上高13,370-売上原価8,300=5,070
- 営業費:決算整理前(1,200+1,000)+決算整理仕訳(4)(300+100)=2,600
- 貸倒引当金繰入:決算整理仕訳(3)(10+10)=20
- 減価償却費:決算整理仕訳(3)800+320=1,120
- 販売費及び一般管理費:2,600+20+1.120=3,740
- 営業利益:5,070-3,740=1,330
本支店合併貸借対照表(B/S)
(資産)
- 現金預金:5,000+3,000=8,000
- 売掛金:6,000+4,000=10,000
- 貸倒引当金:50+30+決算整理仕訳(2)(10+10)=100
- 繰越商品:決算整理仕訳(1)1,400+900=2,300
- 備品:5,000+2,000=7,000
(負債)
- 買掛金:5,800+4,500=10,300
- 未払費用:決算整理(4)300+100=400
- 備品減価償却累計額:1,000+400+決算整理仕訳(3)800+320=2,520
(純資産)
- 資本金:5,000
- 繰越利益剰余金:7,650+P/Lの純利益1,330=8,980
- 借方の「支店」4,500と貸方の「本店」4,500は相殺消去する。
本店と支店でそれぞれ決算整理仕訳を行い、帳簿を合算させ「本支店合併財務諸表」を完成させます。
まとめ
今回は本支店会計の「本支店合併財務諸表」について解説しました。
要点をまとめると下記のようになります。
- 「本支店合併財務諸表」は本店と支店の帳簿を合算した財務諸表のこと
- 作成の手順は下記の通りである。
- 決算整理
- 財務諸表の合算
- 内部取引の相殺
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