今回は本支店会計の「帳簿の締め切り」について解説します。
本支店会計の帳簿の締め切りでは、「総合損益」という勘定科目が出てきます。
↓「通常の財務諸表の帳簿の締め切り」については下記をご参照ください。
帳簿の締め切り
決算が終わったら、次期の帳簿記入に備えて
[本店]と[支店]の帳簿を締め切る必要があります。
本支店会計の「帳簿の締め切り」の手順は下記のようになります。
- 当期純利益の振り替え(損益振替)
- 本店の当期純利益の振り替え
- 支店の当期純利益の振り替え
- 法人税等の計上
- 繰越利益剰余金の振り替え(資本振替)
下記の例題に沿って詳しく解説します
例題
当期純利益の振り替え(損益振替)
[本店]と[支店]の帳簿において、
決算整理後の収益と費用を「損益」勘定に振り替えます
本店には「総合損益」勘定を設置し、
本店と支店の当期純利益を「総合損益」勘定へ振り替えます。
本店の当期純利益の振り替え
本店の当期純利益による「損益」勘定→「総合損益」勘定へ振り替えます。
(本店の仕訳)
当期純利益 | 800 | / | 損益 | 800 |
損益 | 800 | / | 総合損益 | 800 |
支店の当期純利益の振り替え
支店も同じく損益勘定から総合損益勘定へ振り替えますが
「総合損益」勘定は本店に設置されているため、
支店では用いることが出来ません。
そのため、支店の「損益」勘定→「本店」勘定へ振り替えます。
総合損益の代わりに「本店」勘定を用います。
(支店の仕訳)
当期純利益 | 200 | / | 損益 | 200 |
損益 | 200 | / | 本店 | 200 |
そして、本店側は「支店」勘定で計上し、
その相手勘定科目は「総合損益」勘定で計上します
(本店の仕訳)
支店 | 200 | / | 総合損益 | 200 |
- 支店側の借方の「本店」勘定
- 本店側の貸方の「支店」勘定
上記2つは貸借逆で一致し、財務諸表上は相殺されます。
法人税等の計上
法人税等は、本店と支店含めた会社全体にかかる税金です。
そのため、法人税等の計上を行いますが、
「法人税等」は費用(P/L勘定)になるので、
損益勘定へ振り替える必要があります。
通常の帳簿の締めでは、売上や仕入は「損益」勘定へ振り替える必要があります。
法人税等も同様に「損益」勘定へ振り替える必要があります。
ただし、本支店会計では、「総合損益」を用いるため、
「総合損益」勘定へ振り替えます。
法人税等 (費用) | 300 | / | 未払法人税等 | 300 |
総合損益 | 300 | / | 法人税等 (費用) | 300 |
費用である法人税等は次期に繰り越さないように残高を0にする必要があります。
この仕訳により法人税等は減少し、残高が0となります。
繰越利益剰余金の振り替え(資本振替)
最後に「総合損益」勘定→「繰越利益剰余金(純資産)」へ振り替えます。
上記により総合損益の残高は下記のようになります。
本店800+支店200-法人税300=700
これを繰越利益剰余金へ振り替えます。
総合損益 | 700 | / | 繰越利益剰余金 (純資産) | 700 |
最終的には[当期純利益→損益→総合損益→繰越利益剰余金]のような順で振り替わります。
補足
本店と支店で損益勘定の扱いが異なるので混乱すると思いますが
ざっくりとした振替のイメージは下記のようになります。
「本店の当期純利益」→「損益」→「総合損益」→「繰越利益剰余金」の順で振り替える。
「支店の当期純利益」→「損益」→「本店」※本店を通して総合損益へ振り替える
まとめ
今回は本支店会計の「帳簿の締め切り」について解説しました。
要点をまとめると下記のようになります。
- 当期純利益の振り替え(損益振替)
- 本店の当期純利益の振り替え
→「総合損益」勘定へ振り替える - 支店の当期純利益の振り替え
→「本店」勘定へ振り替えて、本店側で「総合損益」勘定へ振り替える
- 本店の当期純利益の振り替え
- 法人税等の計上
- 繰越利益剰余金の振り替え(資本振替)
【総合損益勘定】とは?
[本店の当期純利益]と[支店の当期純利益]の合計です。
※この勘定科目は本店側のみ設置されるため
支店の損益勘定は「本店」勘定を通じて計上されます。
〇当期純利益の振り替え(損益振替)
〇法人税等の計上
〇繰越利益剰余金の振り替え(資本振替)
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