非支配株主持分とは連結会計で出てくる用語の1つです。
- 非支配株主持分とは何なのか?
- 非支配株主持分はなぜ純資産なのか?
今回は【非支配株主持分】について解説します。
非支配株主持分とは?
非支配株主持分とは
連結子会社の株式のうち
親会社が保有していない部分のことをいいます。
次に「非支配株主持分」の
「非支配株主」と「持分」について区別してその意味について説明します。
「非支配株主」とは?
「非支配株主」とは親会社以外の株主のことになります。
親会社は子会社を支配している関係になりますが
子会社の資本のうち”親会社が支配していない部分”
これが非支配株主です。
「持分」とは?
持分とは自分が所有している部分のことを指します。
そのため、「非支配株主持分」とは
非支配株主(親会社以外の子会社の株主)が所有している部分
のことをいいます。
「非支配株主に帰属する当期純損益」とは?
連結会計では
「非支配株主に帰属する当期純損益」
という用語も出てきます。
これは
「子会社の当期純利益」のうち
親会社以外の持分の当期純損益のことを指します。
「非支配株主に帰属する当期純損益」はP/L勘定(費用・収益)になります。
「子会社の当期純利益」のうち
- 親会社の持分
→親会社に帰属する当期純損益 - 親会社以外の持分
→非支配株主に帰属する当期純損益
連結上、親会社と子会社の財務諸表を合算させますが
「非支配株主に帰属する当期純損益」は差し引く必要があります。
そのため下記のような連結修正仕訳を起票します。
非支配株主に帰属する 当期純損益(P/L) ※当期純利益の減少 | 100 | / | 非支配株主持分 (B/S) | 100 |
借方で「非支配株主に帰属する当期純損益」を減少させています。
非支配株主持分はなぜ純資産なのか?
「非支配株主持分」はB/S勘定の純資産になります。
子会社の資本にうち
「親会社の持分ではない部分(非支配株主)」について
連結貸借対照表上に表示させる必要があるためです。
連結会計では「投資と資本の相殺」を行います。
- 投資とは、親会社の「子会社株式」
- 資本とは、子会社の「資本(純資産)」
になります。
例えばP社が、「資本(純資産)が100円のS社」を「100円で取得」して支配した場合
- 子会社株式100円(投資)
- 子会社S社の100円(資本)
上記2つを連結修正仕訳で相殺する必要があります。
これが「投資と資本の相殺」です。
100%子会社の場合、連結修正仕訳は下記になります。
純資産 (純資産の減少) | 100 | / | 子会社株式 (資産の減少) | 100 |
100%子会社だと「100円で取得」しましたが
発行済株式の80%を取得した場合(80%子会社となる場合)
「80円で取得」することになります。
そうすると子会社株式は80円となるため
純資産 (純資産の減少) | 100 | / | 子会社株式 (資産の減少) | 80 |
80%子会社の場合、連結修正仕訳では
子会社株式80円を減少させます。
しかしこれでは貸借が一致しません。
純資産 (純資産の減少) | 100 | / | 子会社株式 (資産の減少) | 80 |
/ | ? | 20 |
そこで差額の20円は「親会社以外の株主が支配している」と記すため
「非支配株主持分」と記載します。
純資産 (純資産の減少) | 100 | / | 子会社株式 (資産の減少) | 80 |
/ | 非支配株主持分 (純資産の増加) | 20 |
補足:「負債」と「純資産」の違い
B/S勘定科目の貸方(右側)に表示される
「負債」と「純資産」の違いは
返済義務の有無です。
- 負債:返済義務がある
- 純資産:返済義務がない
「非支配株主持分」は返済義務がないため
純資産となります。
非支配株主持分を表示させる理由
これは「親会社の持分」と「親会社以外(非支配株主)の持分」を
明確に区別する必要があるためです。
100%子会社の場合
100%子会社の場合、
子会社の株式は全て親会社が保有しているため
「非支配株主持分」が存在しないかたちになります。
まとめ
今回は【非支配株主持分】について解説しました。
要点をまとめると下記になります。
- 非支配株主持分とは、連結子会社の株式のうち
親会社が保有していない部分のこと。- 「非支配株主」とは親会社以外の株主
- 「持分」とは自分が所有している部分
- 非支配株主持分はなぜ純資産なのか?
→子会社の資本にうち「親会社の持分ではない部分(非支配株主)」について連結貸借対照表上に表示させる必要があるためです。
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